ずんの日記

毒にも薬にもなりませぬ

軽井沢のつるとんたんは居ぬきゴージャス店だった

つるとんたんって、夏木マリの店だと思っていたくらい

つるとんたん→六本木→夏木マリという連想ゲームが成立している。

詳しくはよく知らなかったが

Wikiによると、つるとんたんの大ファンである夏木マリ

東京でもつるとんたん食べたい、というのがきっかけで

六本木にお店ができたといういきさつのようだ)

うどんにはうるさい関西人、大阪文化で育ったわたしである。

以前からずっと気になって、結局行けずじまいのお店であった。

軽井沢にあることも知ってはいたが、

旧軽井沢のロータリーのど真ん中にあるし

きっと観光客でごったがえしているのだろうと敬遠していた。

しかも、わたしたちは長野にきたらそば派ですからね。

そういうわけで先日満を持していってきたわけですが、

 

f:id:zumi_blog:20220618102230j:image

1階には一人でも来やすそうなカウンターバーが。随分おしゃれ。

f:id:zumi_blog:20220618102252j:image

2階の席にいざなわれました。おいおい、うどん屋

f:id:zumi_blog:20220618102324j:image

うどんだけではもったいない空間。

f:id:zumi_blog:20220618102335j:image

 

紀州梅干しうどんをいただきました。990円。

美味しゅうございました。こしのある太めうどんです。細麺も選べるようです。

今度試してみます。

食べてみたいメニューがいくつかあるので

(肉かすうどん、カレーうどん、明太うどん等)

しばらく定期的に通ってみたいと思います。

もちろん、うどんとしては高いかもしれませんが、

この店内のホスピタリティとこのお味だとコストもそこまで気にならない。

 

ここはもともと草軽交通駅舎だったという由緒ある建物みたいですね。

本当に内装を見に来るだけでもおすすめです。

【読書感想】雪国/川端康成/新潮文庫

2022年4月23日

f:id:zumi_blog:20220615215606j:image

五反田のよく分からないイタリアンレストランに入った日。

まだ寒い4月。夕方雨が降り始めた。

歩道橋から高架下の写真を撮ったらソールライターみたいな写真がとれて

機嫌は良い。

一人で入ったよく分からないイタリアンレストラン。人は誰もいない。

料理を待つ間、フランスのソーヴィニヨンブランを飲みながら

川端康成の雪国を読んでいた。

エスカルゴバターのマッシュルーム炒め」も

「魚介のペスカトーレ」もややぬるく、火通しが十分ではない。

ただただ生臭く、マッシュルームも生っぽい食べ物だった。

全体にオイルも足りないとみえて

口の中で生臭さと、もさもさ感が同時に押し寄せてくる。

ここのコックは食べることに興味がないとみた。

でも、貧乏性のわたしはなんとか半分くらいは食べて

本読みを再開したり、フォークでパスタやムール貝をいじったりしながら

あいまいな食後の時間を過ごす。

ただ唯一の救いは、ワインはそれなりに美味しいということだ。

それはそうだ。これはボトルからグラスにつがれただけのものだから

まずくなりようがない。

ワインは偉大だ、救いだとつくづく思った。

 

「感想を書いとくんだね?」

「感想なんか書きませんわ。題と作者とそれから出てくる人物の名前と

その人たちの関係と、それくらいのものですわ。」

「そんなものを書き止めといたって、しようがないじゃないか。」

「しようがありませんわ。」

「徒労だね。」

「そうですわ。」

中略

「おい、寒いじゃないか。馬鹿。」

中略

駒子が息子のいいなずけだとして、

葉子が息子の新しい恋人だとして、

しかし息子はやがて死ぬのだとすれば

島村の頭にはまた徒労という言葉が浮かんできた。

そして、島村は駒子に純粋さをみて惹かれていく

というね、川端康成の「雪国」でした。

読んでいて「日本語は美しい」というのは

こういうことなのかなぁと、ぼんやり思いました。

ひとつひとつのエピソードにどんな意味があるか、でもなく

絵画のようにあるがままを読んでいた。

長いトンネル、汽車、坂の多そうな田舎の街、雪の街、スキイ、

そこに住む素朴な人々、温泉、湯けむり

そういうものに想像をふくらませた。

 

f:id:zumi_blog:20220615215504j:image

 

【読書感想】女のいない男たち/村上春樹/文春文庫

f:id:zumi_blog:20220614220412j:image

やっと読みました。やっとありつけた。

昨年、夫がこの本を買って読んでいるのは知っていたので

わたしも終わったら読もうと思っていたのだが

2021年12月に軽井沢の山小屋を戸締りして、東京に出稼ぎに。

その時に、軽井沢にこの本を置いてきてしまったのだ。

次にこちらにくるのは2022年の5月ごろの予定。

映画の「ドライブマイカー」が随分話題となっていて

本当は映画館に行きたかったくらいだが、原作を読むまでは・・

と保留にしていたら、あれよあれよと時間が経ってしまった。

そしてやっと「女のいない男たち」を読んで

映画「ドライブマイカー」を鑑賞した。

私の理解が正しければ、それらはまったく違うものだった。

これは読書感想なので、本の感想を書きたい。

私の理解が正しければ、男たちが中2のように女性を愛して

忘れられず、心を病んでいくというお話集だ。

(ざつなまとめでごめんなさい)

 

その短編のひとつで一番最初のお話が「ドライブマイカー」

うだつのあがらない俳優が妻の不貞行為をどう解釈すればよいか

理解をしたいけど、理解できない

仕返ししたいけど、でもそんなの意味がない

そんな葛藤を村上春樹らしく、技巧的かつ写実的に書いたもの

と読んだ。

わたしが好きなのは、やたらと運転がうまいみさき、24歳、北海道出身

ヘンリーボーンのジャケット、コンバースのスニーカー。

「天現寺の交差点を右折して、明治屋の地下の駐車場に車を停め、

そこで少しばかり買い物をして、そこから有栖川公園の方に坂を上がって

フランス大使館の前を通って明治通りに入る。」

「わかりました」

彼女は地図が頭に入っている。

「シフトチェンジが繰り返されていることはほとんど感知できない。

エンジン音の変化に耳を澄ませてようやくギア比の違いがわかるくらいだ。」

(わたしには、これらの意味は分からないがとにかく運転が死ぬほどうまい

というのが伝わってくる。)

これが写実的に好きなところ。(映像化されてなかったのが残念)

 

妻の浮気相手である若い俳優は、別にたいした男ではなかった。

それによって益々なぜ彼でなければならなかったのかつかめなくなる。

 

家福は妻が浮気をしていると知りながら、知らないふりをして

普通に彼女との平穏な日々を過ごし、セックスもする。

また、その若い俳優に仕返すつもりで友達のふりをして近づくが

友達のまま、特に何もしない。

「そして僕らはみんな演技をする」

わたしはこれがこの話のメインテーマだと思っている。

 

「イエスタディ」

大学生くらいの年頃の付き合うとか、セックスとか、将来とか

そういうことを描いていた。

 

「独立器官」

わたしにとってこれが一番脳内映像化に成功した一作であった。

 

そして「シェエラザード

平たく言うと、なんだかちょっとおっかない女の話で

それを描くのに、実に周到な設定や登場人物、そして彼女の話す話。

 

全部読み終えて、夫に感想を話したときは

「なんだよ、中2病の話じゃないか」などと

男性のロマンチストを嘲笑気味に笑ったことも否まない。

ただ、みな、それぞれ女性を失っていく。

それをまじめに丁寧に、正直に、ハルキワールド全開に書いた

やっぱり秀逸な作品集だと思った。

男性にとって女性を失うとは、ということを。

あとからじわりじわりとくるのであった。

 

いずみん@わたしは映画より小説のほうが好きです

 

 

女のいない男たち (文春文庫) [ 村上 春樹 ]

価格:748円
(2022/6/14 22:05時点)

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 [ 村上 春樹 ]

価格:1,870円
(2022/6/14 22:07時点)

ドライブ マイ カー インターナショナル版 Blu-ray

価格:6,494円
(2022/6/14 22:09時点)

【読書感想】掃除婦のための手引書/ルシア・ベルリン/講談社文庫

ルシア・ベルリンの掃除婦のための手引書は、上半期一番おもしろかった本になったかもしれない。

印象に残った一節に付箋を貼っていったら

すごい量になった。

f:id:zumi_blog:20220613104537j:image

彼女の物語は、とにかく登場人物が秀逸なのだと思う。

子供のころの学校の先生やシスター

断酒会とかアル中女性(多分本人)

毒母、妹、息子などの家族との関係

刑務所の受刑者たち

 

半分フィクション、半分本当のような話らしいが、

そのせいか情景が生き生きと描かれている。

アメリカという国は知っているけど

馴染みのない国の知らない文化圏なのに、なぜかありありと想像ができる。

驚くような話や痛々しい話もいくつかあったり。

多分またいちから読み直すだろうと思う。

彼女の言葉をもっと浴びて、自分に吸収してしまいたい欲。

どこか自分にも似ているところを見出している。

貧しいけど貧しくなく

庶民的だけどハイソなところもあり

教養があるけど、アル中だ。少し社会不適合者的な感じも。

職業を転々とするのも、なんか共感してしまう。

死後に再評価されているというのも、なにか彼女らしい。

むき出しの人間、むき出しの文章

すごいものを読ませてもらったという感じ。

 

掃除婦のための手引書より

掃除婦が物を盗むのは本当だ。ただし雇い主が神経を尖らせているものは盗らない。余り物のおこぼれをもらう。小さな灰皿に入れてある小銭なんかに、わたしたちは手を出さない。

わたしたちが本当に盗むのは睡眠薬だけだ。いつか入り用になったときの保険に。

掃除婦たちへアドバイス:奥様がくれるものは、何でももらってありがとうございますと言うこと。バスに置いてくるか、道端に捨てるかすればいい。

掃除婦たちへ:原則、友達の家では働かないこと。遅かれ早かれ、知りすぎたせいで憎まれる。でなければいろいろ知りすぎて、こっちが向こうを嫌にいなる。

精神科の医者も避けること。こっちの気が変になる。わたしがあの人たちを分析してあげたいくらい。そのシークレット・シューズの意味は?

 

いずみん@岸本佐知子先生訳本やエッセイも読み始めた

 

掃除婦のための手引き書 --ルシア・ベルリン作品集 (講談社文庫) [ ルシア・ベルリン ]

価格:990円
(2022/6/13 15:19時点)

軽井沢生活「蕎麦」が日常を占める割合

今日は、猿が我が家の屋根を歩いて通っていった。
ねずみが走り回るのとは違う重量感のある足音。
うちには猫がいるので、猫が力強く走っているのかな~と思っていたら
猫たちも少し殺気だって、1階と2階を行ったり来たりしている。
バルコニーのほうをみると
うちの屋根から電線を伝って近くの木に飛び移る猿を目撃。

「あら~、おさるさん、お久しぶり」

もはやそんなに珍しい光景ではない。
というのは、この辺にいると普通に猿やカモシカには遭遇する。
ほどなくすると、猿パトロールがやってくる(恐らく村役場の担当者)
彼らはどうやら猿の群れの動きを把握、管理しているらしく(GPSか何かで?)
別荘地に居座らないように
ビービー弾を打って威嚇して人が住んでいる住宅から離れるように誘導する。
大人が大人げなくビービー弾を罪のない猿に向かって連射する光景に
シュールさと複雑な気持ちを抱えながらも
人間の生活を守ってくれているありがたさを噛み締めてもいる。
本当に猿がいるな~と思ってから10分以内くらいにきてくれるので
なんだかとても安心だ。ありがたい。
私たちは、「今、あっちにいきましたー」
と、猿の行動を通報して、市民の義務を果たす。

 

東京と軽井沢の一番の違いは、

・涼しいこと
・山が近くにあること

・温泉が気軽に行けること
と、前の日記に書いたが、ざっくり書きすぎた。
細かくはいろんな違いがあるのでした。

野生動物に遭遇する、もそのひとつ。

そしてもう一つが今日の本題、「蕎麦」が日常を占める割合。

こちらに移ると蕎麦をむさぼるように欲してしまうという事実。

そばという食べ物についてうまく書いてるなと思ったのは

片桐はいりさんのエッセイ集、わたしのマトカの一節。

「蕎麦は幻のような食べ物である。まるで砂漠の逃げ水だ。あのつかみどころのない美味しさ。説明不可能な味わい。それは、蕎麦のそばで暮らしたことのない人にはけして理解できないものだろう。極めて地域限定の感受性である。もしかすると、海を越えた日本人は、蕎麦そのものの味わいより、そんな言葉にならない感覚を恋しく思うのかもしれない。スタンド・バイ・ミー。ただそばにいてほしい。」

 

蕎麦は水である。

蕎麦の美味しさを表現したもっとも優れた一節だと思っている。

 

だから説明はしないが、私たちが軽井沢にきてすぐにいただいた蕎麦は

志な乃さんの相盛り蕎麦(さらしな蕎麦とおらが蕎麦の盛り)1300円

f:id:zumi_blog:20220611223724j:image

説明不要なおいしさです。

 

追分そば茶家の温かい天ぷらそば 1180円(コスパよし)

f:id:zumi_blog:20220611223741j:image
f:id:zumi_blog:20220611223744j:image

国道沿いのこういう光景にときめくのはなんでしょうか。

 

 

いずみん@今シーズン何度行くことになるやら