ずんの日記

毒にも薬にもなりませぬ

【読書感想】書きあぐねている人のための小説入門/保坂和志/中公文庫

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この本は夫の本棚から引っ張り出してきたものである。

保坂先生の本をまだ読んだことがないわたしだが

この小説入門を読んで、うん、背中を少し押してもらった。

小説を書くとはいかなることかが少し分かった気がしたし、

かえって自分にもできるかもと思わせてくれた。

保坂先生の小説も読まねば。

 

私たちの言葉や美意識、価値観を作っているのは文学と哲学と自然科学だ。

言葉は文学が創り出し、そして文学によって保証された価値、

ということにまず感動した。

文学の意義について。

小説に何を書くか、それはモデル化できない”私”、”人間”、”世界”

誰も見たことがない。

誰も見たことがないと知ること。

だから、それを書く、ということ。

哲学も、哲学的フレーズ(われ思うゆえにわれあり的な)がゴールではなく

そこに至ったすべてのプロセスそのものが哲学。

プロセスの全体しか「答え」にならない、と言っている。

日常が小説のいい、悪いを決めるのでなく

小説が光源となって日常を照らすのだ、と。

 

なんだかすごくないですか。

 

登場人物を4,5人設定して、シチュエーションを作ったら

あとはその人物たちが勝手に動き出すイメージ。

書き手が彼らに指示を与えるのではなくて、動き出してしまうのだと。

(それが理想ということだと思いますが)

だからこそ、緻密に考えて頭にある少ない知識をひねり出す

ということでもない、と。

 

そうだとすると、自分にも書けるかもと思ってしまう。

 

とにかく保坂先生、ちょっと偏屈で性格悪そうだけど

猫を愛する純粋な人とみた。

大変勉強になったし、励ましになりました。

ありがとうございました。がんばってみます。

 

いずみん@最後軽くディスっとるやないかい